2018年8月20日月曜日

いにしえの版下テクニック。



手動写植機や電算写植機時代は、1つの書体(フォント)に対して文字が5,400字(JIS第1は全部、JIS第2は半分ぐらい)しか持っていませんでした。そうすると、例えば炒飯の「炒」や、腫瘍の「瘍」の字などが打てなかったりしたものでした。なので、その字が必要なときは(1)文字を持っている石井中明朝や石井中ゴシック、石井太ゴシックなどでその文字を打ってごまかす、(2)部首を貼り合わせてその字を作る といったことが必要でした。いまならフォントがアホほど文字数を持っているのでまず困らないでしょうし、万が一困ってもその文字を作る手段はPC上でいろいろとあります。

で、(1)の方法が使えるときは限られるので、基本的には(2)の方法になります。

いろんな大きさや、いろんな変形(長体10%、20%、30%など)で打ってみて、この部首とこの旁を貼り合わせたら綺麗だなぁ…と思うものをくっつけて文字を作ります。すさまじくアナログ的な手法ですね。

印画紙の表面をカッターで薄く削り取るのは簡単です。こうすると、文字を貼り合わせても紙がデコボコしなくて綺麗ですね。でも、この手法はコピー用紙でもできたりします。レーザープリンタで出力した場合は、普通紙(コピー用紙)が版下になります。そうすると、コピー用紙で紙を貼り合わせて作字をしないといけないのですが、まぁコピー用紙の場合は薄く削り取らなくても印刷には影響しなかったでしょう。でも、版下の人は技術を誇示するかのように削り取っていました。

自分が和文タイプライターを使う時は、面倒くさいので無い文字は手書きします。自分の用事だと、それで十分。ただ、上の図のように部首と旁をうまく重ね合わせて印字する方法はあります。

ほんと、こういうのはロストテクノロジーですよね。

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